ウェブサイト、リニューアルしました!
4月頃にサイトのバージョン古すぎる問題が発生し、ちょうど新型コロナウイルスで仕事が暇になりすごい時間ができたので、一念発起して全面リニューアルすることに。ついに完成しましたので、ちょっとご案内させていただきます。
リニューアルにあたって開設した2014年と大きく違うことは、当時はただのウェブサイトの名前だった「西村花店」が、実在の花屋になったということです(▶ウェブサイトリニューアル中~ちょっとだけ「西村花店」を振り返って~)。なのでもともとのサイトの組み立ては、プロフィールやブログや、活動を紹介するアルバムなどが中心でした。それが2018年に木屋町に町家をお借りできることになり、少しずつお花を買いに来て下さるお客様が増え、それに伴ってアクセスや商品の紹介など、必要な情報を継ぎ足していきました。その結果膨大なページと画像を抱える、しかしどこにその情報があるのかわからない、エライ見にくいサイトになってしまいました。ウェブサイトを隈なくチェックしてからやってきた弟子に、後から「花屋なのか何なのかわからなかった笑」などと言われるほど。そんな状態なのに、「どれも素敵な花束ですね!」と、サイトを見てお電話でご注文をいただくような場面が増えてきたのです。なので新しいサイトでは、まず第一にお花のご注文に役立つ情報を載せなければと思いました。西村花店の花に対するこだわり、ギフトに対するこだわりに加え、できるだけ具体的に当店の花束をイメージしていただけるように、季節ごととイメージごとのアルバムを作りました。その他ドライフラワーが定番商品になってきたり、髪飾りやプリザーブドフラワーのご相談もときどきお伺いするので、ギフト以外の商品のご紹介ページも作ることに。
▶Gift 贈り物
▶Flower items その他の商品
もう一点、新設したページが、「Location」です。地域活動も店を始める前から行っていたので、こちらも何かするたびにページを継ぎ足していたのですが、1ページにまとめ、さらに木屋町通の歴史についても文章を書かせていただきました。以前は「西村花店=西村良子」でしかありませんでしたが、今はもう木屋町通の三条から四条間にある唯一の花屋で、23時まで営業している「木屋町のお花屋さん」です、本当に有難いことに。大学生のとき居酒屋のアルバイトで初めて木屋町に来て、それ以来かれこれもう15年近くこの場所と関わっていることになります。私はこのまちの歴史が好きだし、高瀬川の流れるこの景色が好きです。いろいろ問題はあるかもしれないけれど、毎日たくさんの人がやってくるのは素敵なことだと思います。そこにもう少し、京都らしさや木屋町らしさというものがあればと思うのです。ミナミやススキノでは触れられない、木屋町にしかない景色や賑わいがあれば、素敵じゃあないですか。「お寺や神社だけが京都じゃないのよ」って。「こんなところにお花屋さん?」夜店にいると今でもそんな声が聞こえます。でも私がここで、いけ花に向き合い「京都らしい花屋」を目指し、歴史やまちづくりを学んで木屋町の現状から目を背けずにいることが、何かこのまちがよくなることにつながればと願うのです。尊敬する経営者、ココ・シャネルは、パリというまちに誇りをもち、店を構えた「31 RUE CAMBON (カンボン通り、31番地)」をデザインや商品シリーズ名にしました。交通の発展でどこへでも行けて、インターネットで何でも見られる時代だからこそ、この場所でしかできないことがしたいのです。
▶Location 木屋町通
最後に、文章です。コロナ禍のおかげというわけではありませんが、それまで私の仕事のかなり大きな割合を占めていた、レッスンといけこみ(飲食店等、お客様のお店にお花をいけにいかせていただくお仕事)が、約2か月間ほとんどすべてなくなり、その代わりに人生で経験したことのない、膨大な時間だけが残りました。「こんな時だからこそ」と言ってきてくださるお客様2~3人と言葉を交わすことを除けば、一日のほとんどの時間を、パソコンの前で過ごすことになりました。そこでは、自分はレッスンというツールを使って本当には何が伝えたかったのか、考えざるを得ませんでした。その観点から過去に書いたものを読み直してみると、忙しがって散らかった頭の中から、大切なことが整理されてきました。「日本人が何を美しいと感じてきたか」、「その中で、現代でも使えるものは何か」。自分のテーマは、たったこれだけでした。そのテーマにそぐわない文章は整理して、日々の仕事の中で出会った小さな感動は「BLOG」に、小さくても発見や結論がある文章は「COLUMN」に、そしてその中でもとりわけ西村花店のコンセプトである「季節感」や「いけ花」、それを「現代に伝えること」に真正面から向き合ったものは「CONCEPT」に、それぞれまとめさせていただきました。他にも緊急事態宣言中、お客様とお話する機会が激減し、仕入れてきたお花を紹介しながら一緒に選ばせていただく楽しみを改めて感じ、店に来ていただけない期間も仕入れたお花の紹介ができればと思い、twitterを始めてみました。いけこみに行かせていただける有難さも身に染みて感じ(もちろん今までもそうしていたつもりではあったのですが)、改めて、一瓶一瓶大切にいけさせていただかなければと思いました。次の機会はもうないかもしれないと思って。そうすると、自然と花選びも、合わせる花も、器も、みんな慎重になりました。ただ「きれいだから」ではなくて、なぜそのお店に、この季節に、その花なのか。納得できる説明ができる取り合わせでなければならないと、強く思うようになりました。そのようにいけこみに取り組みはじめてふと、この花をいけるときの「考え方」をみなさまにお伝えできれば、みなさまの日々の花いけのヒントになるのでは?と思い立ちました。それまでいけたお花の写真だけアップしていたInstagramに、解説をつけてみました。
▶BLOG 日々の仕事の中で出会った小さな感動
▶COLUMN 発見や結論のある文章
▶CONCEPT COLUMNの中でも西村花店の核となるテーマを扱ったもの
▶twitter 「西村花店、今日の仕入れ」
▶Instagram 花をいけるときの、華道家の頭の中
レッスンに来られた方やお花を買いにきてくださった方が、「私はセンスがないから」と言われるのをよく聞きます。花は、センスじゃありません。あるに超したことはないかもしれないけれど、私が仕事で使っているのは、専ら「知識」です。季節の知識、花合わせの知識、管理方法、器の知識。技術は必要だけれど、日常のちょっとした花いけで、「技術」が必要なほど大きな花や格のある花をいけることはそうないのではないかと思います。ギフトフラワーを買われるときも「花のことはわからないから」と、ときどき聞きますが、服や雑貨やお菓子を選ぶように、気軽に楽しく、お花を買っていただきたいのです。
「センスのある限られた人だけの楽しみ」ではなく、誰にでも気軽に花を楽しんでほしい。どんどん変化していく世界を目の当たりにして、ますます発信していくことの重要性を感じます。その意味で、西村花店の原点はやはり「ここ」にあるようです。
みなさま、今後ともよろしくお願いいたします。