夏ー細

花道部 アヤメ科
イチハツ/アヤメ科/3月末~5月初

2018年4月28日(土) テーマ;アヤメ科のお花
今が旬の、アヤメ科のお花をいけました。いけ花でよく使うのは、何と言ってもカキツバタ、そして花菖蒲です。
カキツバタは優しく、花菖蒲は力強く、とよく言います。それはアヤメ科のお花は、お花の姿はよく似ていますが、葉っぱの特徴がぜんぜん違うところからきています。花菖蒲の葉っぱには軸がすっと通り、硬い印象。学名も「剣のような」とつけられています。対してカキツバタの葉の軸はあまり主張せず柔らかい印象。学名は「なめらかな」とつきます。
お花のもともとの姿をいかしていけていくのは、いけ花ならではです。

 

2019年4月27日(土) テーマ;白い菖蒲

ちょっとめずらしい白い菖蒲“初霜”に、ゴージャスな緋色の芍薬を合わせてみました。菖蒲の仲間・アヤメ科のお花のことを英語ではアイリスといいます。アイリスは「虹」の意味。ギリシャ神話で女神ヘラに虹の使者にしてもらった侍女イーリスの物語に由来します。
遠く離れたここ日本で、4月半ばの時候に「虹始見~にじはじめてみる~」があります。春が深まり空気の中に水分と光が強くなり、虹がきれいに見える頃、という意味です。そしてそれは、西洋で「虹」と呼ばれる花が咲く頃。不思議な偶然ですが、春の終わりは虹の季節のようです。

 

2018年5月25日(土) テーマ;杜若(カキツバタ)
カキツバタは、葉っぱの向きを揃えて組み合わせる「葉組(はぐみ)」というテクニックでいけ上げます。やや複雑で難しいのですが、大変なだけあって完成したときの喜びと美しさは格別です。
▶ミニ講義「業平の恋とカキツバタ」
▶参考 「生花 杜若」

 


 

花道部 利休梅

利休梅(サツキバイ、バイカウツギとも) ユキノシタ科/4~5月/原産国;北半球の温帯

2019年5月11日 テーマ;利休梅
今回は新元号・令和が、万葉集の梅の歌からつけられたことにちなんで、梅のような白い花を咲かせる初夏のお花・五月梅(さつきばい)をみんなでいけました。明るい緑の葉っぱに愛らしい白いお花は、この季節にぴったりです。桜色の芍薬と合わせて、初夏の風情をいけてみました

 


 

紫陽花
紫陽花(アジサイ) アジサイ科/6~7月/原産国;日本

2019年6月27日 テーマ;紫陽花
紫陽花を主に、河原ナデシコを添えた投入れに。紫陽花は色がきれいで個性的な形も魅力ですが、木化した枝ぶりに瑞々しい葉っぱも味があります。お花が重いためバランスをとるのが難しいですが、伸びやかに初夏の風情をいけましょう。

 

2018年6月9日 テーマ;紫陽花
今年も6月第1週は紫陽花です。今回はまっすぐな穂と自然な葉が趣のある“姫がま”に合わせてみました。かためていけてしまいがちな紫陽花ですが、一輪ずつを少しずつ離していけると一輪一輪がよく見え、風が抜けるようで涼し気です。またお花をばらけさせずにまとめて入れて、花瓶の水を感じさせるのも、これからの季節重要です。

 

2017年6月10日 テーマ;紫陽花
アジサイといえばやっぱり梅雨。お水のたっぷり見える器・水盤(すいばん)にアジサイ一種類でいけました。英名Hydrangeaはギリシャ語の「水の器」に由来します。お花だけでなくお水もきれいに見えるようにいけられると素敵です。アジサイのお花に、雨の水、そして陶器の土。とてもシンプルできれいにいけあがりました。水盤にいけるいけ花のスタイル・盛花(もりばな)ではお花一種類というのはややめずらしいのですが、アジサイは存在感もあり葉っぱもしっかりしているので一種類にしてみました。すっきりときれいにいけられました。

 


 

花道部 デルフィニウム

デルフィニウム/キンポウゲ科/熱帯アメリカ~北半球温帯/5~6月

2018年4月14日(土) テーマ;青い花

完璧な水色が美しいお花・デルフィニウムをいけました。“ドルフィン”が名前の由来の通り、涼し気な姿が印象的な、ヨーロッパなどの冷涼な高地のお花です。世界には青い昆虫や魚などおりますが、日本ではほとんど見かけません。お花も、現代では青と思いがちなものもありますが、例えばもうすぐいけたい菖蒲など、どちらかと言うと紫に分類されてきました。「青」という色は「blue」の訳語で、100年ほどの歴史しかないのだとか。そんなわけで、“ブルー”のお花はなんとなく洋風な雰囲気。バラと合わせて、涼し気にいけてみました。

 


 

花道部 カーネーション
カーネーション ナデシコ科/5~7月/原産国;地中海沿岸

2018年5月12日(土) テーマ;カーネーションとなでしこ
今回のミニ講義は、ちょっと興味深い、カーネーションとなでしこの関係。大輪で西洋風のカーネーションと、楚々とした日本のなでしこ、実は仲間です。
母の日前日の花道部ということで、今回はカーネーションを、五月梅と合わせていけてみました。

 


 

ニンフ
百合 ユリ科/5~8月/原産国;日本、ヨーロッパ

2017年7月22日 テーマ;ユリ
投げ入れにはゴージャスな大輪のユリを。投げ入れには為朝(ためとも)ユリという伊豆諸島の原種を使いました。大輪はカサブランカと同じ、日本のユリ同士の掛け合わせで生まれた”ニンフ”という品種。生成りに濃い桃色の筋が印象的。ユリ独特の香りがほとんどありません。

 


 

花道部 桔梗
桔梗(キキョウ) キキョウ科/7~9月/日本、朝鮮半島、中国

2018年7月28日 テーマ;七夕のお花
夏は枝物や葉っぱものがいろいろと売っているので、今回は涼し気なグリーンに、白い桔梗を合わせました。星形をして夏に咲く桔梗は、七夕のお花として昔からいけ花で使われます。桔梗は秋の七草にも数えられますね。

 


 

檜扇
檜扇(ヒオウギ) アヤメ科/7~8月/原産国;日本、朝鮮半島、中国、インド

2019年7月13日 テーマ;祇園祭のお花・檜扇
7月はやっぱり檜扇。ミニ講義は、『古語拾遺物語』に登場する、祟りを檜扇で払ったお話。
▶災いを祓う扇のお話

 

2018年7月14日 テーマ;祇園祭と“祓う”
今年も7月1回目は祇園祭のお花・檜扇を。
高瀬川花道部もちょうど1年たって、お花に慣れてきた部員さんもおられるので、ちょっと難しい古典いけ花・生花に。
檜扇は姿がとても個性的なので、一種で生花にいけるととてもカッコ良く仕上がります。

2017年7月8日 テーマ;祇園祭のお花・檜扇
祇園祭のお花・檜扇です。歴史あるお花ですので、クラシックないけ花のスタイル・生花(せいか)にいけてみました。
ヒオウギの魅力は何と言っても葉っぱ。本当に扇を広げたよう。檜扇の葉は、いけ花では、葉を一度軸から切り離し、整えて組み合わせていける「葉組(はぐみ)」というテクニックを使います。盛花は、桔梗とオカトラノオですっきりと。

 


 

グラジオラス
グラジオラス アヤメ科/7~9月/原産国;南アフリカ

2018年6月23日(土) テーマ;水際
アヤメ科のお花グラジオラスを、お生花にいけました。葉っぱもののお生花は「葉組」というテクニックが必要で葉の向きなどいろいろと決まりごとが多く難しいのですが、グラジオラスはその中でもルールが少ないので、初めての方にもチャレンジしていてだきました。葉っぱものを水盤にいけると、たっぷりと張った水が見え、そこからすっきりと立ち上るグリーンが一際涼しさを感じさせます。

 


 

レモンオーラ

向日葵(ヒマワリ) キク科/7~9月/原産国;アメリカ大陸

2019年8月24日 テーマ;向日葵
今年は、オーソドックスな芯の茶色いヒマワリを、ユニークな姿の“石化エニシダ”と合わせてみました。

2018年8月25日 テーマ;向日葵
今年もやっぱり夏はヒマワリでいけ花を。
他のお花の都合で今年はヒマワリの回が少し遅くなってしましい、毎日暑いけれど秋が近づいているということで、かさかさと秋の質感のユーカリを合わせてみました。たくさん小枝のついているユーカリ。どの枝をはぶけば見せたい枝が際立つかを考えながら、楽しくお花をいけました。
今回のヒマワリは、印象派の画家・モネから名前をとった、その名も“モネのヒマワリ”、そして花芯がグリーンでかわいい“クリアオレンジ”を使いました。

 

2017年6月24日 テーマ;向日葵
まっすぐに立ち上る姿が印象的なヒマワリをいけました。
最近は品種改良でさまざまなヒマワリがあります。今回使ったのは浅いレモン色に、中心の茶色がない”レモン・オーラ”という品種。中心がないとなんとなく和の雰囲気になり陶器にも合うかなと思いました。

 


 

モカラ。3種類の蘭のかけ合わせで生まれた、まだ歴史の浅い蘭ですが、アジアのリゾートを思わせる雰囲気と豊富な花色に手頃な価格で、人気が高まっています。
モカラ ラン科/タイ、マレーシア/人工育種切り花

2017年8月26日 テーマ;南国のお花
今回はランやアンスリュームにアレカヤシの葉を合わせて、南国の雰囲気をいけました。私たちにとっては「南国のお花」なんて言っても、他のたくさんのお花のようにお花屋さんに行けば簡単に手に入ります。しかし、100年前はどうだったでしょうか。飛行機もビニールハウスもない時代、気候も環境も違う遠い国のお花を目にすることができるのは、ほんの限られた人々だけでした。現代日本の花を取り巻く環境は、輸送・生産技術ともに圧倒的に発展し、世界のたくさんの国に比べて恵まれていると言わざるを得ません。しかし同時に、お花を買う人やいける人が、簡単に手に入るその花々の名前や原産国がわからないことも多くあります。それは、きっと昔の人が思いもしなかった不幸。私たちは、南国のお花を見たら、むせ返るような水気の多い空気と、花や蜜の甘い香り、飛び交う色鮮やかな蝶や小鳥に、想いを馳せたいものです。

 


 

蓮
蓮 ハス科/7月~8月/インド、その周辺

2019年8月10日 テーマ;お盆
今年のお盆は、西洋ススキ(パンパスグラス)をメインに、ほおずきと高野槙を合わせてみました。
7月には神様のお祭り・祇園祭に慌ただしく過ごし、8月に入ると仏教に由来するお盆の準備をせっせと始める日本人。自然に学び自然とともに生きてきたが故の、独特の感覚です。ミニ講義は、仏教が日本に伝来したときのお話です。
日本に仏教が伝わったときのお話

2017年8月11日 テーマ;お盆
8月に入ると帰って来られるご先祖さまのために、夏のお野菜を供えたりお花をいけたりします。中頃になると六道参りでご先祖さまをお迎えに。盆踊りは先祖さまのおもてなしのために行われたのでした。そして16日、またご先祖さまがあの世へ帰られるとき道に迷わないように、送り火や灯籠流しでお見送りします。花火大会も江戸時代、大飢饉での多くの死者の慰霊のために始められたそうです。現代ではどの行事も、楽しい夏の風物詩。お盆らしいお花も同じように、気軽に楽しんでいただければと思います。

 


 

花道部 朝鮮槙
朝鮮槙 イヌガヤ科/常緑樹/日本(イヌガヤの園芸品種)

2019年7月27日 テーマ;生花

こんな言い方はアレですが、何の変哲もない常緑樹。イヌガヤという古代から日本~中国大陸にある常緑樹の園芸品種で、明治時代に入ってから日本で確認されたそうです。名前は朝鮮半島原産の新種だと思われての名前でしょうか。そういう出自のため、古書に載っていたり和歌に詠まれたりということもなく、残念ながら文化に乏しい花材。しかしながら切り花で出回る花材としては他にないくらい青々とした葉をしており、なんとなく瑞々しい感じもします。細い葉の間にすだれのように隙間があり涼し気。暑さに本当に強く、どんどん暑さを増す現代の夏でも安心していけられます。棒のようにまっすぐな反面とてもためやすくいのも特徴。棒のようなので(すみません)投入れなどには向きませんが、枝先は独特のシルエットをしているので、生花にすると凛と格の高い姿にいけあがります。夏の生花に最高の花材です。


▶参考 生花と陰陽説

 

2018年8月11日 テーマ;槙

京都にはお盆が始まる前に、六道参りという風習があります。
お盆は期間中ご先祖様とお家で過ごす期間で、有名な五山の送り火は、あの世へ帰って行くご先祖様の道しるべといわれます。反対に六道参りは、お盆が始まる前(8月7日~10日)に、東山の六道珍皇寺にご先祖様を迎えに行く風習です。
平安時代、この六道珍皇寺のさらに東に「鳥辺野」と呼ばれる土地がありました。人々がまだ風葬により祖先を弔っていた頃、鳥辺野は一大風葬地で、その麓はあの世へ続く道と考えられ「六道の辻」と呼ばれました。六道珍皇寺に残る井戸は、嵯峨天皇に仕えた小野篁が、夜になると閻魔大王に仕えており、冥界と行き来するのに通ったという伝説があります。
古来より精霊は槙の葉に乗って冥土より帰ってくると信じられており、皆、槙を手に珍皇寺へ「お精霊(しょうらい)さん」のお迎えに行くのでした。今でも六道参りの期間中は参道で槙が売られます。