6月;紫陽花 “梅雨に咲く太陽”
この国で最も雨の多い季節に咲く花を
どうして紫“陽”花と呼ぶのだろう。
それは平安時代、唐に渡った学者が
別の花に使われてた名前をアジサイのことだと
思い込み、辞書にのせてしまったことに始まる。
後の研究者は「千年の誤用」と言った。
誤用ならば、完全な当て字で読むことも
できないのに、どうしてこれほど長い間
人々に使われ続けているのだろう。
夏の太陽を待つ花なのだろうか。
あるいは、私たちにとっての
太陽なのかもしれない。
曇り空の下で雨に打たれながら
濡れるほどに輝く鮮やかな青。
その姿はきっと、やまない雨の日々を過ごす
私たちにとって、灰色の心を晴らしてくれる
梅雨に咲く太陽。
6月のショップカードは、迷うことなく紫陽花。
日本原産のお花で歴史や物語があると同時に、今では世界中のたくさんの国で愛されています。大人から子供までみんな知っていて、季節感とも分かちがたく結びついている、まさに西村花店が自信を持ってお売りしたいお花です。
思えば、いつか独立しようと決意して勤めていたお花屋さんを辞めて、時間だけができたもののどうして良いかわからず、とりあえず開催してみた花展。そのときのテーマも、紫陽花でした。ちょうど6月で、やっぱりそのときも、みんなが知っていて好きなお花をいけようと思って決めたテーマでした。あれからちょうど、7年目の6月です。いろいろな人に出会ってお花もたくさんいけさせてもらって、自分が大切にしたいテーマやコンセプトも随分はっきりしてきて、その上で、6月は、やっぱり紫陽花だと思います。店先に並べていると、たくさんの方が「きれい」と写真を撮ってくださったりお買い上げくださったりして、本当に、幸せなこと。