風の花
ジャムの瓶があいたので、アネモネをいれてみました。
昔花屋さんで働いているときに、「お墓参りのお花がほしい」という若い男性のお客さんがやってきて、2人で冷蔵庫の前に並んでどれが良いかと選びました。
お客さんは「あの花はどうですかね」と、赤や紫の鮮やかなお花を指さしました。アネモネでした。
男の人がお墓に行くというので、もっと違うお花を選ばれるだろうと思っていた私は(菊とか)、ちょっとびっくりしてしまったのですが、とても良いなと思いました。
アネモネは、ギリシャ語で「風」を意味する「アネモス」が語源だそうです。ギリシャ神話では亡くなってしまった美少年を愛した女神が、「せめて夏だけは私のそばに」と願い、夏に咲く花になったそう。風が吹くと散ってしまいそうな儚いお花は、それでもとっても鮮やかで、お墓によく映えるだろうなと思いました。
お墓に束ねられたアネモネの姿が、見ていないんだけどどうしても忘れられなくて、それで私はこのお花の素敵な名前の由来を覚えました。
日本では、早春にたくさん出回ります。