かすみ草が大好きになった件

2020年03月26日

以前は、かすみ草というお花を仕入れたことがなかった。

私は花の仕事について13年目になる。一番はじめ働き始めたとき、かすみ草は「ださい花」だった。赤いバラにピンクのユリにかすみ草、これを大きくどーんと束ねると、いかにも“昭和の花束”という感じがしてぞっとした。はじめて修行させていただいたお花屋さんは、花屋の基本をしっかり教えていただいてとても感謝しているのだけれど、昔からあって今風というお店ではなかった。いつもオーナーが作る大きく大きく束ねれらた花束にはしっかりかすみ草が入っていて、私はいつも「オーノー」と心の中で思うのだった。そのイメージがあまりにも強くて、自分で花束を束ねられるようになってからは、選べる限りかすみ草はいれなかったし、独立して自分で仕入れをするようになってからは、市場に出ていても見向きもしなかったので値段も産地も品種もほとんど知らなかった。

ある時常連さんに頼まれて、仕方なく仕入れたのだった。他に使い道もないので、なんの期待もしていなかったけれど小さく束にして店先に置いてみると、「かわいい~」という声がよく聞こえた。しかも若い子たちの。そして実際に、よく売れた。放っておくとそのままドライフラワーになるのだけれど、いつも使っているブラウンの紙に巻かれた白い小さなお花は、ノスタルジックで可憐に思えた。花束に入れるときも、ぼわっと大きく使うのではなく(最近そもそも、舞台とか大きな宴会で使う花束でなければ、大きく束ねること自体あまりなくなったなぁ)、小枝にして何本かいっきに持ってぎゅっとお花をかためて使うと、とてもかわいい。最近はピンクや紫に染めてあるものも出回っていて、昔だったら「そんなん誰が使うの!?北新地!!??」みたいな感じだったのだけれど、春らしくってすごくかわいい。桜が舞い散る川の景色のイメージをそのままお花にしたみたい。色を合わせたスターチスと合わせると、色鮮やかなミニブーケのままドライフラワーになる。若い子がかわいいといって買って行ってくれるのはもちろんうれしいし、先斗町のお茶屋さんの女将さんも、「春らしいなぁ」と言って買ってくれた。自分の仕入れが誇らしい。

この間好きなテレビ番組「月曜から夜更かし」で、最近の若者はジーパンをはかなくなったと言っていた。「おじさんの着るもの」というイメージらしい。「ジーパン」という言い方に至っては「おじいちゃん!?」だそうで、爆笑してしまった。だって私が小学生くらいの頃「ジーパン」は大ヒットなイケてるアイテムで、カッコイイお兄さんやお姉さんはみんな履いていた。それがまぁ。時代は変わるんだなぁ。ファッションやメイクに時代や流行があるように、当然お花にも流行があるのだ。「かすみ草はださい昭和の花」、そう思っているのは多分花屋だけだ。「最近の人は花買わへん」。そう言う前に、どんな花だったら若い人も欲しいと思えるのか、私たちが考えられなければ日本の花に未来はない。

 

ところで「かすみ草」という名前は、素敵だ。小さい小さい白いお花はまさに霞みたい。水しぶきにも見える。しかしかすみ草を仕入れるようになって品種の名前を気にするように気がついたのだけれど、「銀河」「アルタイル」、「スターマイン」に「ベールスター」。どれもみんな、夜空や星をイメージさせるものばかりで、水とは関係ない。どうしてかなと思っていた。最近本当によく売れるし自分でもブーケによく使うので、50本や80本という単位で仕入れる。どさっとバケツに入っている姿に、今日ちょうど光が射していた。土間は暗く、白い花の上のところにだけ照らされていた。「あ」と思った。満天の星空みたいだった。今までは10本とか少ししか仕入れたことなかったから。名前をつけた生産者の人たちが見ているのはこの景色なのだろうか。ビニールハウスの中でまっすぐに並んだ何列もの大量のかすみ草は、もしかしたら天の川みたいに見えるのかもしれない。

お花を育てる人、買う人、もしかしたらもらう人。花屋はいつもその人たちの間に入る職業だ。責任は大きい。

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宣伝のつもりでこの文章を書いたわけでは決してないのですが笑、来月のレッスンはかすみ草です。
にわかに好きになったかすみ草と違って実は昔から大好きなパンジーを合わせて、リースを作りたいと思います。
▶4月のレッスン“かすみ草とパンジーのノスタルジックリース”予約ページ