京都芸術大学・藝術学舎「現代いけ花考」のご案内
毎年秋に担当させていただいている社会人向け講座・藝術学舎も、今年で5年目となりました。
もともとは「華道家の一輪挿し教室」というタイトルで始めた講座。お家に飾る用の簡単な一輪挿しのコツをお教えしたい。そう思って始めました。しかし講義の準備のために考えれば考えるほど、一輪挿しのためのテクニックやコツというのは本当に簡単なのに、それをできなくしているのは現代の日本の切花業界(いけ花教室や花店)と、人々の「いけ花は伝統」「センスがないから花はいけられない」という思い込みなのだという結論に至りました。
人気講座とは程遠い受講者数ですが、毎年10人程が受講してくださり、でもその10人ほどの受講者の皆様は本当に熱心におもしろがって私の話を聞いてくださり、毎年励まされてきました。年を経るごとに内容は少しずつ、花そのものの話より社会学的な内容が増えて行きました。3年目の生徒さんに、タイトルを変えた方が良い、と言っていただき「現代いけ花考」となりました。
私は花を生業としています。四季の国・日本を生きる人々に、世界でも稀に見るほど恵まれた現代の日本の切花環境の下、花をいけることを楽しんでもらいたいと思います。昨年までは平日に隔週5回だったのを、今年からご無理を言って土日の集中講座に変更してもらいました。タイムスケジュールが変わるので、スライドもかなり作り替えました。なんやかんや花の画像もたくさん入れていたのですが、バッサリ減らして、もっと社会に切り込んだ内容にしました。サブタイトルはズバリ「花の現代社会論」です。
私たち日本人が花をいけられなくなってしまったのは、人々のセンスがなくなったからではなく、社会全体が現状から目を逸らし続けた結果です。一輪挿しのコツなら1時間あれば十分お伝えできます。でもそれだけでは、少なくとも現代の日本では、自信を持って楽しく花をいけられるようにはならないのです。
「花をいける」というこの国が築き上げた最高の文化を、新たな視点で、徹底的に見つめ直します。日本の歴史と美意識に誇りを持ち、本当の意味で四季を楽しみ、自信を持ってお花をいけられるようになる。それが、この講義の到達目標です。
毎年言ってますが、昨年よりも気合い入ってます。
▼お申し込みはこちら
https://air-u.kyoto-art.ac.jp/gakusha/learning/G2532202