生花 錦生け

「花」といえば季節は春を思い浮かべがちですが、桜や桃など春の花は木に咲くものが多く、日本で草花が野に美しく咲くのは秋の季節でした。「花園」や「花畑」は秋の季語、とされています。
山々が紅葉し、野には色とりどりの草花が咲き乱れる姿は古くから、金銀や種々の彩色で織り成す厚手の絹織物「錦」に例えられてきました。
古典いけ花「生花(せいか)」は、通常一種類の枝物のみでいけるスタイルですが、色に溢れるこの季節だけは、たくさんの草花を一瓶の中に色とりどりにいける方法が伝承されています。他にはないくらい多くの種類のお花を使う中でも、生花としての格調が保たれるよう、色の順位は最も格が高い白を頂点とし
「白(はく)・紫(し)・黄(おう)・紅(こう)・赤(せき)」となるよう決められています。
秋の季節だけに許された、贅沢ないけ花。
「錦いけ」と呼ばれています。