「夏らしさ」とは?関西大学にて短期留学生にいけ花体験

友人で関西大学の職員・西脇さんにお誘いいただいて、短期語学研修に来ている留学生さん達向けにいけ花の講義&体験を実施させていただきました。語学研修中に日本文化に触れる時間が設けられているそうです。すごい!

講義の内容は、「いけ花とは?」と、「今日いけるお花について」。英語でやらされるのか!?と心配していたのですが、みんな色々な国から来ているのでここでの公用語は日本語。日本語の研修なのでもちろん日本語でお願いします!とのこと。とは言え、生徒さんの日本語力はかなりまちまち。ペラペラの子もいるけれどまだ始めたばかりの子もいるということで、講義はとにかくシンプルにわかりやすくを徹底しました。

いけ花とは?空間とともにデザインする花!日本文化は?季節を大切にする!と、どんどんスライドが完成していったのですが、当日いけるお花の説明になったとき、ふと手が止まりました。

剣山を使ってほしいというリクエストがあり、盛花という、水を見せ景色を表現するスタイルをデモンストレーション&実践してみることになりました。お花は、ススキ、桔梗、なでしこといった、秋の草花を組み合わせました。これに関して西脇さんに説明していると「なぜ夏なのに秋の草を使うの?」「次の季節を先取りするため?」と聞かれました。

日本の夏は蒸し暑く、過ごしにくい。現代ではお客さんが来る前に冷房を入れておくことこそがおもてなしになってしまっているけれど、そうでない場合は、涼しさを感じられるしつらえを準備しておくことこそが、もてなしでした。秋の花の中でも、風に揺れる優しいシルエットのお花を選ぶのは、まだ現実には感じられない秋の風の表現です。お料理でもガラスの器や氷を盛り付けに使ったり、お菓子でも同じように氷や流水をイメージした透明感のあるものが好まれます。私たちにとってみれば当たり前のこの「夏の季節感」は、外国人留学生にっとては決して当たり前ではありません。四季があったとしても、ヨーロッパの北の方など全体的に涼しい気候であれば、夏といえば人々は肌を見せ太陽を求めます。「wind chime」は一年中吊るしておくけれど、「風鈴」は夏にしか飾りません。風や水や涼しさが夏の表現になるのは、日本ならではの気候と、それに対する日本人の向き合い方から生まれた文化なのでした。

どこまで留学生の皆さんに伝わったかはわかりませんが、せっかく日本に留学していけ花を体験するならば、日本の季節感についても絶対に考えてほしい。西脇さんのアイデアで剣山は一人一つプレゼントすることになり、単なるフラワーホルダーではなく、水を見せ風を感じさせるという、日本独自の美意識の詰まった道具であるという説明を添えました。

コロナ禍と出産でレッスン系は長い間お休みしていたのですが、関大の西脇さんや古材文化の会さんのように、私のコンセプトを理解して協力してくださる方のおかげで、少しずつまたレッスンの楽しさややりがいを思い出し始めております。

西脇さん、いつもありがとう!