7 空間に合った花選び①花の色×照明
お花を選ぶときに考える最も簡単な要素に、色と形があります。原産地とか格とか季節感とか考えたい要素は他にもいろいろありますが、これらがあらかじめ知っていないとどうしようもないのに対して、色と形は店頭で見ただけで、その花の名前すらわからなくても考える材料にすることができます。この2つにちょっとだけ踏み込んで「質感」を入れて、3つの材料から花を選ぶことができれば、花選びは随分洗練されたものになります。
なのでまずは、一番見ただけで選べる「色」から順番にご説明しようと思います。
◆空間に合った色選び
色から花を選ぶときに大切なのは、何色かではなく、明るさ(明度)を見ることです。
「明るい・鮮やか」に対し、「暗い・くすんでいる」の2つが軸となります。以下のカラーチャートをご覧ください。外が明るく、内にいくほど暗くなります。同じ赤でも、一番外側と一番内側では、随分雰囲気が変わります。
参考に、同じ赤いカーネーションですが、左に明るい赤、右に暗い赤を並べてみます。「暗い」色彩は「アンティーク」や「シック」につながり、今風でオシャレな雰囲気を出すことができます。その反面、照明が暗い場所などでは影になってしまって花がよく見えないということが起こります。お洒落なバーなどにはついシックな色のお花を合わせたくなりますが、一段明るいものを持って行ったほうが、照明と重なったときにちょうど良いシックな雰囲気になるかと思います。
◆色×照明
色が問題になってくるのは、その場所の明るさです。
先述の通り、暗い場所には明るい花が良いです。カラーチャートを見ていただければわかる通り、色は絶対的なものではありません。明るさによって変わるのです。お家やお店にいけられた花は、基本的にいけられた場所から動かされないと思うので、お花を選ぶときは、最終的にいける場所の明るさを足したり引いたりするとうまくいきます。反対に、いける場所が花屋さんと同じくらい明るいのであれば、花屋さんで見たのと同じ色のお花を持って帰れるということになるので、店頭で目についたお花を選んでいただければ良いと思います。
照明に関して気を付けなければならないのは、電球色など、照明にしっかり色がついている場合です。照明の色は、花の色を背景に同化させてしまいます。なので電球色ならばオレンジ色とその周辺の色(オレンジ系の赤、オレンジ系の黄色)は避けるのがベターです。どうしてもその辺りの色のお花が良ければ、「彩度」が低いと多少目立ちます。下の表は、明るさは同じままで、彩度だけが中に行くほど低くなったカラーチャートです。
同じオレンジでも、彩度が低い、つまり白っぽいオレンジ(右)であれば、しっかりしたオレンジ(左)よりは、オレンジ色の照明の下でも多少見栄えが良くなります。