2月;バラ “愛した分だけ美しく”
もしも“愛”が目に見えたなら
誰もバラなんて束ねなかったかもしれない。
私たちは知っている。
バラよりも美しい花があることを、
バラよりも香りの良い花があることを。
だけど愛する人へ贈るのに これほど相応しい花はない。
バラという花は、 手をかけた分だけ美しく咲く。
土を作り虫から守り剪定し
すればする程美しい花が咲く。
だからきれいに咲いたバラは、
誰かが愛して育てた印。
愛なんて形のないものが ちゃんとこの世に在る証。
私たちは、愛する誰かにバラを贈る。
いろいろ迷いましたが、2月のショップカードはバラにしました。
花そのものが2月に咲くわけではもちろんありませんが、これほどまでに強く多くの人に浸透している「バラ=愛」というイメージは、それはそれでバレンタインデイのある2月の花(でもある)と言えるのかもしれません。現代の歳時記、といったところでしょうか。
ちなみにこの「バラが愛の象徴なのは、愛した分だけ美しく咲くから」というのは、何かの伝説とかではなく私の妄想です。昔バラをテーマにした個展を開催させていただいたときに考えました。バラをテーマに決めたとき、やはり切り離すことができない“愛”というイメージがあったのですが、それがどうしてなのだろう、と思いました。調べても考えてもわからなかったとき、バラを育てるのが趣味だという男性とお話する機会がありました。「バラは裏切らないから。手間をかけた分だけきれいに咲いてくれる。女の人はほら、そうはいかないでしょ」その人はそう言って笑いました。ぱーっと霧がなくなった気分でした。なるほどなぁ。だから育バラ家には男性が多いのか。
言葉にできない、あるいは形のない何かを人に伝えようとするとき。そこに花が必要とされるのは素晴らしいことだし、そのお手伝いができるなら、これほどうれしいことはありません。
きれいに束ねるのはもちろんだけど、花の背負った物語をお伝えすることも、花屋の大切な仕事だと思います。