Venezia 2015、夏

Venezia, Italy

飛行機がマルコ・ポーロ空港に着いた時、びっくりするような大雨でした。
船に乗ったら満員で、最後の一席に座った瞬間お年をめしたご夫婦が現れ、私は席をゆずることなりました。
仕方なくみんなに背を向けて立って、曇った窓から、大雨で真っ白な人生初めてのヴェニスを眺めました。
あれ、ちょっと陽が射してきたなとういう頃に、さっきの奥さんに背中をつつかれました。
「席あいたよ」。
教えてもらって振り返ると実はもう太陽が出て、小さい船の窓から見える海が、
さっきまでの雨を空気の中に含んで、きらきらと輝いていたのでした。
私を席に座らせた奥さんは、カメラをさげてガイドブックをもったわたしのために窓を開けてくれました。
そのときはじめて、海が緑色をしていることに気が付きました。
遠くに浮かぶ、煉瓦のまちなみ。そうか、「ヴェニスの海はエメラルドグリーン」。何かで読んだことあるなぁ。
それは、空の上の誰かが巨大なガラスや水晶を砕いて、その破片を景気よくばらまいたみたいな、
それでまちは、その破片に太陽が射すことを喜んで両腕をひろげいているような、そういう景色でした。
「光っている」というのじゃなくて、もともと光る何かがあらかじめ海にばらまかれていて、
それに太陽が当たって輝いている、というような光り方なのでした。

たった3日間、でも朝から晩まで歩いたヴェニスというまちには、この海から流れ込んだ緑色の輝く破片が、
小さな運河となって町中に流れているのでした。

 ▶景色について、花をいける人間が考えたこと