木屋町で叫ぶ、これもいけ花

2020年07月19日

四条木屋町の人気立ち飲み店・「もみじ」さんに、お花をいけさせていただいております。はじめは飲みに行ってるときに仲良くなったお兄さんが軽い気持ちで頼んでくれて、たぶん他のスタッフさんやお客様には「花いるのか・・・!?」と思われていたと推察するのですが、3年が経とうとして、もみじの玄関に花、はすっかり馴染んできました(と願いたい)。

はじめの頃は、店内のカウンターにいけたり表にいけたりそれも定まらず、花のイメージも何が喜んでもらえるのか本当にわからず悩みまくっていたのですが、あるとき納得できたことが、「高級ではない、でも本物の、季節の花」がいい、ということでした。もみじで提供されているお酒はオシャレなやつではもちろんなくて、ビールに日本酒に焼酎、チューハイ。お食事もお刺身を中心に超定番の飲みメニュー。どれも安くておいしいので、若者も“本物の酒飲み”も来れる立ち飲み屋さんです。一度お花をいけに行くと昼間から結構満員で、そこへ一人外人さんが入ってこられました。どうして良いかわからずきょろきょろされていると、スタッフのお姉さんが「ひとりー?」と遠くから声をかけ、日本語のしゃべれない外人さんは何か言うのですがもちろん聞いてもらえず、「なに!?ビール?」(多分そう言ってなかった)と、生ビールを出されるのでした。日本人しかいない店内と、容赦ない対応。でも海外へ旅行に来て本当に体験したいことって、こういうことなんだよな~、とちょっと感動してしまいました。英語のメニューがそろっているようなところでなくて。もみじはそういう、本当に京都で暮らしている人が行くお店なのです。だから。そこにお花を飾るとしたら、オシャレでもアバンギャルドでもなくて、本当に京都の季節を感じられるものでなければならないと思ったのです。

今回のお花は、手桶に檜扇(ヒオウギ)をいけさせていただきました。7月の京都は、なんといってもこの、祇園祭のお花・檜扇。四条通に近いもみじからは、お店の前から南を見れば御神輿が見えます。器には、最近手に入れた、お醤油屋さんのものだったらしい手桶を選びました。食品を入れるからなのか、手桶としてはめずらしく足がついています。花器に見立てるなら足が付くと格が上がるので、歴史ある檜扇に合います。木屋町は今では飲食店の立ち並ぶ繁華街ですが、その歴史の始まりは木材問屋や日用品を扱う商店が軒を連ねた通り。お醤油屋さんの手桶に檜扇は、7月のもみじの玄関にピッタリ合った気がしました。

飲み屋街・木屋町通の、立ち飲み屋さんの前に花?「そんなのいけ花じゃない」。そう言われるかもしれません。しかし、その場所の歴史・背景・格を知り、そこに合わせた季節のお花をいけることがいけ花でないというのなら、一体令和の日本のどこで、生きたいけ花に出会うことができるっていうの。

なんて叫んでみたり。ここ京都、木屋町通、かつて鴨川の河原だった場所で。

 

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