バーテンダーの資質

2019年11月18日

さてこの記事は、Walk Off the Earthというバンドの、I’ll Be There という曲の和訳から始まります。カナダのインディーズバンド?なのかな、日本語の情報がぜんぜんないのでよくわからないけど、apple musicで偶然聞いてとても気に入って、誰かの翻訳を見たい!と思って検索したのですが、ひとつも出てこないので自分で訳すことにしました。それで、訳している間に思い出した、あるバーでの出来事が、この記事の本編です。
ではまずは、Walk Off the Earth、I’ll Be There。

When the tears are rolling down,
涙が止まらないとき
Like a river to the ocean
海へと続く川の流れの様にとめどなく
And there’s no one else around
周りに味方が誰もいなくても
You won’t question my devotion
私は必ずあなたのことを想ってる

Everybody needs somebody
一人でさみしいことって誰にでもあって
And you got me
だから君には私がいるんだよ
You know that I know that you know that
いつでも
そうでしょう?
心の声に聞いてみて

I’ll be there for the highs and lows
君が楽しいときも悲しい時も、
私は必ずそばにいる
Give you mine if your heart gets broke
もし君の心が傷ついたんなら、
私のをあげるから大丈夫
By your side when you’re all alone
誰もわかってくれなくても、
私は必ず君の味方
I will be there
そばにいるよ
When you’re down on your luck
何やってもうまくいかなくて落ち込むとき
No ride home and you got too drunk
その上酔って終電までなくなって
2am I will pick you up
深夜2時
それでも拾いにいってあげる
I will be there
私は君の味方だから

I’ll be there (x3)
For you
I’ll be there (x3)
For you
そばにいるよ
私は君の味方
いつだって

When you’re down on your luck
何やってもうまくいかなくて落ち込んで
No ride home and you got too drunk
帰る場所がないって感じても
Oooh
I’ll be there (x3)
For you
私は君の味方

When you’re heart could use a break
心が疲れちゃって
And it’s too broken to be open
扉が壊れて開かないっていうんなら
I’ll be patient I will wait
大丈夫
いつまでも待ってるよ
Until you’re ready to be open
なおるまでちゃんと待ってるよ

Everybody (Everybody)
Needs somebody (needs somebody)
一人でさみしいことって誰にでもあって
And you got me
だから君には私がいるんだよ
You know that I know that you know that
いつでも
心の声に聞いてみて

I’ll be there for the highs and lows
君が楽しいときも悲しい時も、
私は必ずそばにいる
Give you mine if your heart gets broke
もし君の心が傷ついたんなら、
私のをあげるから大丈夫
By your side when you’re all alone
誰もわかってくれなくても、
私は必ず君の味方
I will be there
そばにいるよ

When you’re down on your luck
何やってもうまくいかなくて落ち込んで
No ride home and you got too drunk
帰る場所がないって感じても
2am I will pick you up
いつだって駆けつける
I will be there
私は君の味方だから

I’ll be there (x3)
For you
I’ll be there (x3)
For you
そばにいるよ
私は君の味方
いつだって

When you’re down on your luck
何やってもうまくいかなくて落ち込んで
No ride home and you got too drunk
帰る場所がないって感じても
Oooh
I’ll be there (x3)
For you
私は君の味方

I’ll be there for the highs and lows
楽しいときも悲しい時も、私は必ずそばにいる
Give you mine when your heart gets broke
もし君の心が傷ついたんなら、
私のをあげるから大丈夫
By your side when you’re all alone
誰もわかってくれなくても、
私は必ず君の味方
I will be there
そばにいるよ

When you’re down on your luck
何やってもうまくいかなくて落ち込むとき
Gave your all but it’s not enough
全力でがんばったのに
Take my hand and I’ll pick you up
それでも私の手を掴んで
引き上げてあげるから
I will be there
私は君の味方だから
(I will be there)

I’ll be there (x3)
For you
I’ll be there (x3)
For you
そばにいるよ
私は君の味方
いつだって
When you’re down on your luck
何やってもうまくいかなくて落ち込んで
No ride home and you got too drunk
帰る場所がないって感じても
Oooh

I’ll be there (x3)
For you
I’ll be there for you
駆けつけるよ
私は君の味方
いつだって

 

このブログは洋楽翻訳サイトでも英文法のサイトでもなく華道家のひとり言ですので、好きに!訳させていただきました。日本語だけでも読めるようにしたかったので、意訳しすぎなところとかあるいは普通に文法や解釈を間違っているところがあるかもしれませんが、どうぞご容赦ください。
(英語の歌詞はこちらのサイトを参考にさせていただきました▶https://lyricsfa.com/2019/08/23/walk-off-the-earth-ill-be-there-lyrics/)

 

たとえば10年前にこの曲を聴いたら、誰かにそう励まされているみたいで、あるいは誰かにそう言ってほしくて、涙を流したんだろうと思う。でも今は、自分が誰かにそう言ってあげられる、強い人でありたいなと思う。

毎週お花をいけに行かせていただいている、木屋町のPONTOS BARさん。花屋を始めるよりずっと前、先輩にお酒を飲みに連れていって行ってもらったのは私が25歳のときだったから、マスターともそれなりに長い付き合いになってきたなぁと思う。
ある日、いつも通りお花をもって階段を上がった。扉を開ける前から賑やかな声がして、何組かのお客さんで盛り上がってるのかなと思った。でも店に入るとマスターと、何度かお会いしたことのある常連さんが一人。よく飲まれた風で、大きい声で、楽しそうで、マスターのちょっとやれやれという顏。私も話を合わせながらお花をいけていると、「お花屋さん一杯ごちそうするわ」と言っていただいた。店に戻らないといけないしと軽くお断りしたのだけれど、マスターが「まぁそう言うたはるし」とちょっと有無を言わさない感じでコースターを出してくるので、少し不思議に思いながら私も腰かけた。乾杯して、その後もなんでもない話でとても楽しそうで、ご機嫌で上手なお歌を披露したりしてくださった。でもある瞬間ふっと声が止まったと思ったら、目頭を押さえておられるのだった。ちょっとぎょっとなってしまって、でもそう思ったことがバレないように普通の顏をして、でもなんで?「今日友人が亡くなって」と、その人は小さな声で言い訳みたいに言った。「幼稚園からの付き合いやもんなぁ」と、マスターがひとり言みたいに付け足した。その後二、三言そのお友達について話されて、カウンターはまたはじめの楽しい調子に戻って行った。悲しいことなんて何にもなかったみたいに。
常連さんは、私がグラスをあけるまえに席を立たれた。極めて明るく。ドアが閉まってからんからんとベルが鳴って、マスターと2人になった店内がやけに静かに感じた。亡くなったお友達と常連さんは、幼稚園から高校までの幼馴染だったそうで、それが今日、突然お亡くなりになったと連絡が入ったそうだ。「ほらそういうのって、家族に言うのも友達に言うのもなんか違うやん?俺みたいなんがちょうどいいねん」マスターは困ったように笑って言った。そうか。今の常連さんを支えてくれるひとたちにはわからない悲しみを聞いてくれる人で、場所。そういう場所がある常連さんも素敵だと思ったし、誰かのそういう場所になっているマスターも素敵だと思った。

「I’ll be there」を日本語にすると「駆けつけるよ」あたりになるんだろうと思う。困ったことや悲しいことがあったとき、スーパーマンみたいにとんできて助けてくれる存在。だけど「駆けつけるよ」では、英語の「I’ll be there」がもつ何物にも代えられない圧倒的な力強さや優しさが感じられないように思う。Walk off the earth の「I’ll be there」を訳していて、ポントスのマスターが頭によぎったとき、ふと、その言葉の強さや優しさや安心感を表現するのにもっともふさわしい日本語は、直訳としては真逆なのだけれど、「ここにいるよ」なんじゃないかなと思った。何かあったら駆けつけるんじゃなくて、あなたが悲しい時もうれしい時も、変わらずに私はここにいる。
マスターに至っては「ここにいる」がもう体の一部みたいになって、わざわざそんなこと毎日思ってないだろうと思う。わざわざ思わないけどでも、カウンターの向こうの扉に一番近い場所で、新聞読んだりラジオ聞いたりしながら、悲しいことがあったりうれしいことがあったり、とくになんにもなかった誰かが、扉を開けてベルが鳴るのを待っている。

木屋町でお花をいけにいったり売ったりさせてもらっていて、私はたぶん普通の人より、バーテンダーという職業の男の人をたくさん知っていると思う。すごく男前もいるしそうでない人もいるし、よくしゃべる人もあんまりしゃべらない人もいる。でも全員に共通して言えることは、みんな、優しい。私なんか皆さんにとったらただの出入り業者で、なのにどのバーテンダーさんもみんなとても丁寧に、気遣って接してくださっているのがわかる。お酒飲むと楽しいこともあるけれど、おなじだけさみしくなることあるもんね。そういう場面や人たちをいくらでも見ておられるわけで、お酒が好きでおいしいお酒を作れるだけじゃなくて、そういうのを暖かく見守ってあげられる人じゃないと、続けられないんだろうなぁ。

「ここにいる」。そのことが誰かの救いになったり励みになったりする。なりたい強い人は、たぶん、優しい人なんだろうと思う。バーテンダーのみなさんみたいに。

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マスターにもお客様にも好評だそうで、ときどきやる“フォアローゼス”。
今回は白いバラで、周りに紅葉やバラの実をあしらって秋仕様にしてみました。