100円の剣山

2017年06月12日

100円ショップのダイソーに、たぶん6月から、ミニ剣山が売られ始めた。鉛のと、プラスチックのやつ。「おぉ」と思った。「ついに出た」。

さっそく花いけ部か何かで使おうと思って、とりあえず30個、注文しようとすると、店員さんはびっくりしたような嫌そうな顔で奥へ引っ込んで行き、それから出てきてこう言った。「どこの店舗でも足りないので、注文は受け付けられません」。

残念だったけどうれしかった。みんな、100円なら剣山を買うんだ。2000円や3000円の大きいやつはいらないけれど、小さくて100円なら買うんだ。そして各流派のいけばな会館みたいなところじゃなくて、どこにでもあって誰にでも入れる100円ショップという場所に売っていれば。

私は今まで3軒のお花屋さんで修行させてもらったけれど、どの店でも剣山は取り扱っていなかった。お花屋さんに買いに来られるお客さんの気持ちは、わからないことはなかったけれど、なんとなく自分の扱うものではないような気がしていた。

でもよく考えてみたら。何も習ったことのない人が花をいける道具としてぱっと思いつくのは「オアシス」よりも「剣山」で、そのお客さんにとって小原流とか池坊とか何流とか、まったく関係のない話なのだ。それを花屋だからとかいけ花だからとか何流だからとか言って、「そうだ、お花でもいけてみよう」という誰かの気持ちを、「なんだ、やっぱり花って面倒くさいな」に変えてしまったら、結局は花屋さんにもいけ花の先生にも、誰にとっても良いことがないのだ。

「100円ショップで売り始められた剣山がすぐに品薄になった」は、自分も含めた花関係者の反省でもあり、でもこの国では、まだまだみんな花をいけたいんだという希望でもある。そして私は反省を、その希望に賭けたいと思う。

 

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花道部のあじさい、さっそく100円剣山にいけてみました。